前立腺癌検査から生検・外部放射線治療・ホルモン療法までの治療と通院記録です。

外照射放射線療法

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放射線治療・トモセラピー

前立腺癌の放射線治療

転移のない前立腺癌の場合、放射線療法は根治を期待できる治療法です。主な治療法は「体の外から患部に放射線を照射する外部照射法(外照射法)」と「前立腺の中に放射線源(密封小線線)を刺入し前立腺内部から直接照射する密封小線源療法」があります。どちらを選択するかは病巣の大きさや進展度により異なるほか、患者本人の考え方やライフスタイルなどに合わせて選択が可能な場合があります。

強度変調放射線治療(IMRT):北里大学病院の場合

前立腺は膀胱と直腸の間に挟まれている臓器です。通常放射線治療では骨を目安に位置を確認しますが、膀胱の大きさ(尿量)や直腸の大きさ(ガスや便)が変化すると前立腺が動いてしまいます。そこでトモセラピー(Tomotherapy)を用いて治療直前にCTを撮影し治療計画画像との位置照合を行います。また前立腺に金属マーカを挿入しX線透視画像を用いてマーカによる正確な位置決めも行います。前処置として排便排尿後、水を約300ml飲み30分後に治療を開始します。1回の治療時間は約20分で40回の分割照射を行います。

密封小線源療法:北里大学病院の場合

低リスク群の場合:永久刺入組織内照射(低線量率:I-125)
中リスク群の場合:一時刺入組織内照射(高線量率:Ir-192)+外部照射、一部は永久刺入組織内照射(低線量率:I-125)の適応±外部照射
高リスク群の場合:一時刺入組織内照射(高線量率:Ir-192)+外部照射

密封小線源永久挿入療法(低線量率I-125線源)

非常に弱い放射線を出す小さな線源(長さ:約4.5mm、直径:約0.8mm)を50~100個程度、前立腺内に挿入し、前立腺内の癌病巣へ放射線を照射する方法です。線源はカプセル状になっておりチタン製で、中に放射性ヨード(I-125)が密封されています。このカプセルは永久に前立腺内に残りますが、出る放射線量は徐々に弱まり1年後にはほとんどゼロになります。
■長所:手術による体への侵襲が極めて軽度であり、手術翌日から通常の生活に戻れます。尿失禁や男性機能不全等の障害が少ない。
■短所:すべての前立腺癌が適応とはなりません。入院(3泊4日)が必要となります。

一時刺入組織内照射(高線量率Ir-192線源)

高リスク群に有効な治療法です。高い線量率(High-dose-rate、HDRと略)を持つ放射線源Ir-192を使用し、前立腺内へ挿入したガイド針(アプリケータ)を通し、 前立腺内の癌病巣へ放射線を照射する方法です。3日間で5回の照射を行います。また本治療終了後、IMRTを用いた外部照射を2週間10回併用します。
■長所:I-125永久挿入療法より、さらなる治療効果が期待できる可能性があります。尿失禁や男性機能不全等の障害が少ない。
■短所:特別な放射線治療装置や、治療計画コンピューター等が必要です。一度刺入した針を3日間にわたり継続留置して使用するため、ベッド上で3日間の安静が必要です(入院治療となります)。原則、外部照射を併用します。

トモセラピー

トモセラピーは、CT(コンピュータ断層撮影装置)とリニアック(放射線治療装置)を一体化させた装置で正確に病巣部の照射部位と形を把握し腫瘍に対してピンポイントに放射線を集中照射することが可能な装置です。放射線照射装置が体の周りをらせん状に回転しコンピュータ制御寝台が前後に移動するので、周囲360度、前後51カ所の方向から照射することができます。

また、IMRT(強度変調放射線治療)による最新の照射方法を採用しているので癌の形、部位、大きさに合わせて照射量や強度を変化させることで腫瘍以外の正常組織への影響(侵襲)を減らすことができます。トモセラピーは様々な部位の癌、様々な大きさの癌、そして様々な癌の個数に対応できるだけでなく、正確な放射線照射治療による副作用の少ない体に優しい治療が可能です。

ゴールドマーカー挿入

前立腺は直腸の動きなどの影響を受けて動く臓器です。このため毎回の治療ごとにゴールドマーカー(金属マーカー)を探知することで、放射線照射時の正確な前立腺の位置を短時間で把握することが可能となります。これにより周辺臓器(直腸や膀胱)への影響を最小限に抑えつつ前立腺への正確な放射線照射が可能となるわけです。

  • 2016年(H28)8月25日~北里大学病院にて採血とゴールドマーカー挿入(1泊2日)
  • 2016年(H28)9月5日 北里大学病院にて放射線治療の説明 同意書 トモセラピーCT
  • 2016年(H28)9月12日~北里大学病院にて放射線治療開始 カソデックス服用終了

2016年(H28)8月25日~26日 北里大学病院にて採血とゴールドマーカー挿入
最寄りの駅前から妻と共にバスに乗り、北里大学病院へ10時半ごろに到着する。入院手続きを済ませ6階の泌尿器科棟のナースステーションに書類を出す。申し込んでいた無料部屋は明きがなく有料の4人部屋であった。午後1時過ぎに看護師が呼びに来てベットと共に直ぐ近くの処置室に行く。ベットに横に寝て足をかがめて頭を屈める姿勢を取らされる。麻酔医は腰の上の腰椎あたりをしきりに確認している。最初の痛みを和らげる注射を打ち、そして更に麻酔の注射を打つ。5分ぐらい経過してもほとんど変化はない。10分くらいしてから両足が次第にしびれてくるがまだそれほどでもない。そして、手術室への移動が始まる。天井を向いているのでどこをどう移動しているのかあまりわからない。

手術室は明るい照明が付いていて数名の男女のスタッフが待機していた。血圧計、心電図、パルスオキシメーターを付けられ両腕を軽く固定させられる。麻酔注射をしてから30分くらい経過していると思うが両脚や腰周りに感覚は全くない。しきりにお腹の周りをなぜ回されていたように感じた。後から考えると多分尿道に管(カテーテル)を入れていたのだと思う。前立腺の触診や超音波プローブの挿入なども全く感じなかった。そしていよいよ「それでは始めます」の声と共にゴールドマーカーの挿入が始まる。今回の手術では前立腺の腫瘍の周り3か所にゴールドマーカーを挿入する。挿入じたいは5分か10分程度だったと思うが、痛みは全く感じない。ただ準備には時間がかかる。病室に戻ったのが3時頃だったから2時間程度かかったことになる。

麻酔のほうは覚めるまでに4~5時間程度はかかるようだ。6時半過ぎの食事時にようやく起きれるようになり食事をとった。点滴のほうは外せるということで外してもらった。しかしカテーテルのほうは「翌朝の診察後に外します」ということであった。カテーテルがあって寝返りも自由にならず腰の痛みなどもあって寝苦しい一夜が過ぎる。翌朝7時半過ぎにパンと野菜中心の食事が出される。9時半ごろ妻が面会に来るがまだカテーテルは外してもらえない。10時ごろ妻が席を外している間に、男性の看護師と思われるスタッフ3名がやってきた。ベットに横になり昨日の手術時に貼られたテープを剥がす。股の周りや貼られていて強力なテープで剥がされると非常に痛い。そして最後にカテーテルを抜かれた。これも飛び上がるほど痛い。思わず悲鳴を上げた。そして「これですべて終わりました」といってスタッフ3名は引き揚げて行った。その後終るのを見計らったように妻が戻ってきた。

やっと終わった痛みと開放感でしばらく放心状態である。おしっこが出たのを看護師に確認してもらえないと帰れない。そのため10分ぐらいしてからトイレに行く。最初のおしっこは尿道やお尻の会陰部にビリビリ痛みが走る。そして血尿だ。我慢して出すと血の色が薄くなって少し出た。備え付けのコップに入れて看護師に確認してもらう。看護師は「おしっこの色も量も異常はないので退院されていいですよ」との事であった。丁度来たバスに乗り終点でおりる。今日は妻と一緒であり食事の支度をするのも面倒なので駅前のスーパーで寿司を買う。夜はいつものウォーキングを半分にして妻と共に歩いた。おしっこは3回目ぐらいは痛みがあったがひと眠りして夜中に目が覚めてトイレに行ったときは痛みが全くなかった。

2016年(H28)9月5日 北里大学病院にて放射線治療の説明同意書及びトモセラピーCT。
今日は最初の放射線科の診察を受ける。先生とは初対面である。私の番が来て入室して挨拶をする。先生のデスクの向こうに女性看護師が座っている。1日の尿の回数など一般的なことを聞かれて診察は終了する。待合室で待機していると、先ほどの看護師に呼ばれて別室に入る。水が入ったペットボトルを渡され300ml飲むように言われる。同時に放射線治療の方法や注意事項の説明を受ける。説明が終わり再度待合室で待機する。若い男性の放射線科スタッフに呼ばれ着替えの方法の説明を受ける。上はそのままでズボンとパンツは脱いで治療用のズボンに着替える。CT室に入室しトモセラピーという機械の上に横たわる。ベッドの上に敷かれているシートは自在に変形できるようで脚の形に合わせられる。その後CT撮影が行われて放射線治療前の準備は終了した。

放射線治療(外部照射)開始

2016年(H28)9月12日~11月10日 北里大学病院にて放射線治療開始 カソデックス服用終了。
今日は初めての放射線治療である。予約時間の30分前にトイレに行き排尿してから300ccの水を飲む。最初に医師の診察を受ける。ベットにあおむけになるように言われる。触診というのだろうか?お腹の周囲を押したり触ったりして異常がないか確認しているようだ。医師の診察が終わり、更衣室で着替えをする。着替えはズボンとパンツを脱いで治療用のズボンをはく。そして放射線治療照射記録というカードを専用ケースに出して待機する。男性のスタッフに名前を呼ばれ放射線治療室に入る。トモセラピーという放射線治療装置の寝台(カウチ)にあおむけに寝てスタッフの説明を聞く。毎回共最初にCTの撮影をして、次に放射線治療をするという。CT撮影のほうは1~2分程度で終わり、次は放射線治療である。放射線治療のほうは4~5分位掛かった。痛くもかゆくもなく終了する。これがこれから40回続くことになる。

2016年(H28)9月13日 北里大学病院にて放射線治療2回目。
今日は朝から強い雨が降っている。最寄りの駅まで徒歩で18分位掛かるが、今日は雨なのでバスに乗って行こうと思う。自宅から6分位のバス停で待つが予定時間を過ぎても来ない。あてにならないので雨が小やみになったこともあり歩いて行くことにする。最寄り駅から病院行のバスは定刻に発車する。治療予約時刻の30分ほど前に着く。診察券を受付機に通してから放射線科の受付に渡す。直ぐにトイレに行き排尿してから300ccの水を飲む。着替えをしてカードを専用ケースに入れ待機する。間もなく名前を呼ばれ治療室に入る。昨日と違ったのはCTの撮影に4~5分掛かった。その後の放射線治療は昨日と同じ4~5分位であった。待ち時間を含めて受付から終了まで1時間ぐらいであった。

2016年(H28)9月26日 北里大学病院にて放射線治療9回目。
今日は泌尿器科の診察日である。最初に採尿と採血がある。次に下腹部のレントゲン撮影だ。先生の話では放射線治療まではホルモン療法の薬(カソデックス)を継続する。放射線治療終了後3年間はゾラデックス注射を継続するとのことであった。

2016年(H28)10月5日 北里大学病院にて放射線治療16回目。
放射線治療後診察を受ける。いつものように寝台にあおむけに寝て、下腹部周辺を触診してもらう。先生が「まだ(放射線治療が)半分にも満たないからね」という。私が「これから(放射線の影響が)出てきますかね?」と質問すると。先生は「大丈夫でしょう。出ない人も多いですよ」と言われ少し安心するのであった。(だが実際にはこのあと次第に放射線の影響が出てくるのである)

2016年(H28)11月10日 北里大学病院にて放射線治療40回目最終回。
今日は放射線治療40回目の最終回となる。思えば雨の日も、風の日も予定通り40回もよく通ったものだと思う。そう思うと放射線治療科の受付、トモセラピーの装置、放射線科のスタッフ、ISドクターや看護師などそれぞれが感慨深い。といってもそれは自分だけの感慨で他は何も変わらない。今日もいつものようにカードを受付けに通し、更衣室で着替え、水を300cc飲み待機する。しばらくすると呼び出しがかかり、トモセラピーのある部屋に入る。そして装置の寝台に横たわりスタッフが別室で操作する。合図があり装置が動き白いトンネルの中に入る。そして数分後に放射線治療が終了した。帰り際に女性看護師が全ての欄にマークが押された照射記録を渡してくれる。帰り際「お疲れさまでした。お大事に」と声を掛けてくれる「ありがとうございました」と返事をして部屋を出る。会計を済ませ外へ出ると澄んだ秋の青空に太陽が輝いていた。

放射線治療 照射記録




罹患数予測トップ

前立腺がんは切らずに放射線治療で治す。
日刊ゲンダイDIGITAL 2016年(平成28年)10月27日(木)9時26分配信より
治療しない方が健康に暮らせるケースも
気温の低下とともにトイレが近くなる中高年も多いだろう。医師に相談した際、見つかることがあるのが、日本人男性の間で急増する前立腺がんだ。尿道を包む前立腺ががん化する病気で、2004年までは3万人程度だった年間罹患数が、2016年に発表した国立がん研究センターの予測では9万人超となった。
前立腺がんの罹患数予測は男性のがんのトップだが、なぜ急増しているのか?JCHO東京新宿メディカルセンター放射線治療科の黒崎弘正部長が言う。
「食生活の欧米化などといわれますが、単純に日本人の寿命が延びたからです。前立腺がんの8割は65歳以上の高齢者。がんは細胞分裂の際の転化ミスが原因といわれ、高齢化が進むほど患者数は増えます。検査精度が上がったことも大きい。採血だけで済み、検査精度の高いPSA検査が、ほとんどの人間ドックで行われ、早期発見が可能になっています」
PSAとは前立腺の上皮細胞と尿道の周囲の腺から特異的につくられて分泌される糖タンパクの一種。前立腺にがんができると、この分泌量が正常の2倍以上に増えるといわれている。
「PSA検査をきっかけに体の細胞を採取して顕微鏡で調べる精密検査を受け、がんと確定する人が増えているのです」(都内の泌尿器科医)
最近では高精度のMRIと超音波検査立体生検を組み合わせた「フュージョン生検」と呼ばれる新たな画像診断検査法も開発されており、1センチ以下の小さながんでも発見できるようになっている。
「かつては、前立腺の治療は前立腺の周りを含めごっそり取る“全部切除”が常識とされ、開腹手術が選択されてきました。しかし、前立腺がんは進行が遅く、5年生存率は80%以上。治療しない方が健康に暮らせるケースもあるので、待機療法を選択する人もいます。また、排尿や勃起に関わる神経を残すなど患者さんの負担を軽くするため、腹腔鏡手術やロボット手術なども増えています」(黒崎部長)

■手術と治療成績は同じ
そんななか、改めて注目されているのが“切らずに治せる”放射線治療だ。すでに複数の臨床試験を併せて分析した結果、限局性前立腺がんの生存率は手術と同等とわかっている。
前立腺がんの放射線治療というと、マスコミは電子よりも重い「重粒子」や「陽子」をがんにぶつけて破壊する「粒子線治療」をもてはやしてきた。しかし、治療費が高いうえ、設備が大掛かりで受け入れる患者数に限りがある。
一方、従来の放射線治療機(ライナック)では正常な細胞に影響を与える可能性がある。直腸のガスや膀胱の貯尿量などで前立腺は日々、位置が変わるからだ。患者の皮膚にマーキングして、そこに向けて照射するライナックでは、微妙なずれが発生する恐れがある。
「そこで、より高い治療効果が得られる放射線治療としてトモセラピーへの関心が集まっているのです。トモセラピーはIMRTにCTを組み合わせたような放射線治療機です。治療のたびにCT画像で患部を正確に知ることができるうえ、360度あらゆる方向からピンポイントで細い放射線を当てます。結果、周辺の正常組織を損なうことなく、患部に強い照射ができるのです。都内では当院を含め、4施設しか設置されていませんが、費用も粒子線に比べればかなり安い」(黒崎部長)
前立腺がんの治療はほかに、前立腺がんのエサになる男性ホルモンを抑えるホルモン療法や抗がん剤治療、塩化ラジウムによるアルファ線治療などがある。選択肢が複数あるうえ、他のがんに比べて何が自分にベストかを考える時間的余裕があるケースも多い。前立腺がんが見つかったら、慌てずじっくり考えて選ぶことだ。

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